みずがめ記

既婚だけど単身でドイツにワーホリに来て、就労ビザで延長滞在。帰国してもドイツが好き。

子供に「中国人(笑)」と笑われた話

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ドイツにいるとたまにあります。こういうの。ミュンヘンで初めて遭いました。

公園を友達と散歩してたら、チャリに乗った小学生が「中国人(笑)」とだけ言って通り過ぎてきました。多分、わたしに言ったのではなくて、心で思ったことが口に出てた感じ。

その瞬間はどんな感情だったか説明しにくいですが、「ほぉ」と思いました。「ほぉ」と。が、わたしが悲しくなったのはその後。なぜなら一緒にいた友達がその子供に激怒したから。

友達は「日本人よ!」と、去ってった子供に叫んだ。子供は自分がさっき「中国人(笑)」と言ったのをもう忘れてたような感じでポカンとしてた。

友達はもう一度、「中国人じゃないわ、日本人よ。あなたのことだって彼女はルーマニア人かと思ったわよ!」(いや、そうは思ってないけど)

子供は「本当?」と返してきたけど、それはわたしが中国人じゃなくて日本人だったことより、自分がルーマニア人と思われたのが信じられないという意味だったと思う。

友達は「そうよ、こういうことが簡単に起こるんだからね。」と言って、わたしの背中に手を当てて「大丈夫?」と静かに微笑みかけてきた。

「うん」と言ったけど、すっごくモヤモヤした。「わたしああいうの嫌いなの」と友達は言った。わたしは子供に「中国人(笑)」と言われたことがお腹の奥に響いてきて、なんかすごい悲しくて、この子供はなんで中国人(笑)って言ったんだろう、なんで嘲笑したんだろう、この子の親はどんな人なんだろう、何がそんなに面白いんだろう、この子供じゃなくてドイツ人はみんな心の中では中国人(笑)って思ってるのだろうか、この友達も本当はそう思ってるんだろうか、逆にだから優しく接してくれるんだろうか、とかいろんな、いろーんな、いろーーーーーーんな感情がぐるぐるして、その後の友達との会話があんまり入ってこなかった。

でも、「さっきの子供、どう思う?」とか、「あなたが怒ったからなんか悲しくなった」とか言えなかった。

で、これまであったドイツでの蔑視というか、アジア人/日本人であることで不快な想いをしたエピソードを思い出したりして、なんだかずーん、です。

が、考えてみると日本でだって、子供も大人も外国から来た人を見て「ガイジンだ!」とウキウキする人とかバリアを張る人とかもいるし、ドイツじゃなくてもこういうことはあるよね。それでお互いポジティブなコミュニケーションを取れるときももちろんあるし。

うーん。けど、なんなんだろう。髪の色とか胴の長さとか目の大きさとか肌の色とか、なんなんだろう。SAWという映画で、差別主義者の若者に対してジグソーが「皮を剥げば血の色は同じだと気付くだろう」的なことを言ってたのを思い出したり。

・・・

差別がなんだとか言いたいのではないし、ドイツ人が蔑視してくる、というのでもないし、全員じゃないし、ただちょっとモヤモヤしたという話。でも、ずっとあの子供のあのセリフ、「中国人(笑)」という一言はどこからどう出てきて、さらに口から出ちゃったのかを考えちゃう。考えても答えはないんだけど。という。