日本でどういう風に報道されてるのかチェックしてないけど、日本にいる家族や友人から「大変そうだけど大丈夫?」という連絡をいただきます。
大丈夫です。
これまでの流れとしては
- 3月09日(月)の週
1,000人以上のイベントは自粛らしいと噂に聞く - 3月12日(木)
友達と普通に遊ぶ
図書館で本を予約する - 3月13日(金)
明日から図書館閉鎖するのでご予約の本をお貸しできませんとメールが来る。図書館のサイトを確認すると、3月14日(土) 〜4月19日(日)まで完全閉鎖だと知る - 3月16日(月)
ネットでバイエルン州のコロナの状況を調べる。あらゆる余暇(プールや映画館やミートアップなど)が3月17日(火)から完全閉鎖だと知る
レストランは15時まで営業、それ以降の時間はテイクアウトのみ可だと知る - 3月17日(木)
友達と普通に遊ぶ - 3月20日(金)
バイエルン州知事が、3月21日(土)〜4月03日(金)まで外出自粛要請を発表
友達と普通に遊べなくなるのか、と知る - 3月22日(日)
メルケル首相が記者会見。州知事と合意した外出自粛のガイドラインを発表 - 3月30日(日)
バイエルン州知事が、外出自粛要請を4月19日(日)まで延長と発表
東京都でも最近、外出自粛が発表されたようですが、どれくらいのものなんでしょう。バイエルン州はしっかりさっぱりきっちり明文化されててすごい。さすがドイツ。
バイエルン州の場合
以下、意訳して抜粋。
- 同居人を覗き、のっぴきならない理由がなければ他人との接触を最小限に抑えること。他人との距離は1.5mを保つこと。
- レストランの類の営業はテイクアウト、配達のみ可能とする。
- 病院、リハビリ施設、介護施設の訪問(出産、小児、近親者の訪問、ホスピスを除く)は禁止する。
- 外出は以下の場合のみ可能とする
- 仕事
- 診察、投薬、献血、心療ケア
- 日用品の買い出し(食料品、ペット用品、郵便、薬局、補視・補聴、銀行、ガソリンスタンド等。美容院等は日用の範囲外とする)
- パートナー、老人、病人、ケアが必要な人の訪問
- 未成年の付き添い
- 親族の葬儀
- スポーツ、外で身体を動かすこと(1人、または同居人とのみ可能)
- 動物のケア
- 警察は外出者が適した事由を持っているか検問する。
- 違反は感染防止法 セクション 73、段落 1a、6番に則る。
- 以上は2020年3月21日の00:00から2020年4月3日まで有効とする。それゆえ、外出自粛は2020年4月3日24:00に終了する。
警察は街をウロウロしてます。それ以外に警察ってほぼ見ないんだけど。友達と会ってたり、不要に外出してたり、他人との距離 1.5m を保ってないと、罰金150Euroだそうです。数字にこだわるのもドイツっぽいところ。
ドイツ全土のガイドライン
面白いのは、ひとあし先(2020年3月20日(金))にバイエルン州知事が外出自粛要請を発表して、そのあと(2020年3月22日(日))にメルケルさんが同様のガイドラインの発表したこと。州によって多かれ少なかれOKとNGのラインが違っていたり、ちょっといざこざあるらしい。まー、州によって人口も違うし、接してる国も違うし、州知事の政党も違うし、そりゃ違うよね。
この記事では "自粛" って訳してるけど、「これは推奨ではなく、ルールです。違反があった場合には罰則もあります」とメルケルさん。不要不急の外出は控えてって言ったから、あとは個人の良心と裁量に任せましょう、なんてものでは全然ない。
ちなみに話は逸れますが、バイエルン州知事もメルケルさんも、「あ、無駄に外出すんのやめよう」と思わせてくれる説得力があります。じっくり聞いちゃうスピードで、じっくり聞けちゃう平易な語彙で。「新鮮な空気って大事ですよね。これは引き続きオッケーで」とか、「みなさんを閉じ込めるようなことはしたくないので」とか「経済はもとより、おじいさま、おばあさま、友達に会えないというのは辛いことだと思います」とか、寄り添ってくれてる感。こんな首相がいる国っていいなぁって思う。
街の様子
普段だったら昼でも夜でも平日でも週末でも賑わってるマリエン広場が閑散としててびっくりした。
わたしは自転車で通勤しているのですが、天気がいいと公園には普通に人がいっぱいいます。むしろジョギングしてる人が前より増えたような。でも1人または家族と。大人で3人以上は見ないですね。
天気が悪かった日に地下鉄で通勤したらこの通り。
ホームにはわたししかいないし、1車両に1人ずつという勢いで人がいない。外にも車が走ってなくて、バニラスカイを思い出した。普段はバンバン車が走ってる道路の真ん中を駆け抜けるシーンがなんもしなくても撮れちゃうな、なんて思ったりした。
パン屋のお客さん
前回、お客さんとカード支払いについてのやりとりを書いたわけですが、生まれて初めて「クソ野郎!」と言われる経験をしたのでメモ。
うちのパン屋は小さいので、他人との距離 1.5m を保つために店内には同時に2人のお客さんまで、と決めており。3人目以降は外で待っててもらう(これも1.5mごとに地面にマークしている)わけですが、何しろその日は雨で寒かった。接客していたら3人目のお客さん(女性、50代、ぽっちゃりめ)が店内にスタスタ入ってきたので「すみませんが少し外で待ってていただけますか?」と声を掛けた。ちなみにこれ以上でもこれ以下でもない、ごくごく普通に、普通のフレンドリーさと丁寧さで声を掛けた。で、で、それでですよ。
Arschloch!
と吐き捨てられた。いやー、びっくり。
え?
っていう。Arschloch!は英語でいうとAsshole!です。日本語にはそういう言葉ってあんまりないのですが、訳すならクソ野郎!ですかね。
面食らってたら、わたしが接客してたお客さんが、その人にむかって「Hey!」としかめ面してくれた。
わー、Arschlochだって。Arschlochって言ったよ、このオバさん。そんな言葉吐かれるようなこと言ったのか、わたし?
ってグルグルしてるうちに、なんと、その言葉吐いたお客さんの順番が回ってきて店内に。当然、接客するのはわたし。わー。わー。
「隅で待ってようとしてただけでしょうが!」
と第一声で言われ、まー、隅で待っててもらえれば店内に3人いても 1.5m は保てるけれども。雨で寒いし、行列待ってるのだけでイライラするのわかるけども。
Sorry とだけ言ったけど、結局その人はわたしに Arschloch と言ったことは謝らず。カード支払いもお願いしたけど「カードなんて持ってないわよ」でシャットアウトされ。
コロナでストレス溜まるもんなぁ、とか理解しようとしたけど、いや、この人はコロナに関係なくもともとこういう人だ・・・、と思ってしまった。残念ながら。
いやー、こんな言葉吐かれることはもう2度とないでしょう。貴重な経験とすることにしました。
あとは「あんた、1.5m 離れなさいよね!」って小学生に向かって目を吊り上げて怒るおばあさんのお客さん、「離れてくださる?」とやさしめに他のお客さんに声を掛けてた妊婦さんと、それに対して「何も起こりやしないよ」と返してた男性、1.49m 圏内に入った瞬間に感染すると思ってるんじゃないかと思うくらい変な動きするお客さん、真空パックに代金を入れて渡してくれたお客さん、お客さん用に置いてる除菌ティッシュを「これ持って帰っていい?」って聞いてきたお客さんなど、色々です。
ルールと、その間
ということで、ドイツはやっぱりルールの国なんだけど、ルールをきっちり守ろうとすると実はそれは堅苦しかったりする。ルールはこうだけど、事情はこうだからこうする、というのが大切だったりする。接客中のお客さんがもう終わりそうだったら、3人目が入ってきても何も言わなかったり、行列がすごい場合は店内に2人(1組)いても3人目(2組目)を接客することにしたり、エスプレッソだったらToGoカップじゃなくてマグで出して店外でさっと飲んでもらったり。それでもさすがに両親 + 5人の子供が一気に入ってきたときは「すみませんが・・・」って言ったけども。
パン屋っていいよね
外出自粛がある中で、毎日出勤できて、本当、よかった。合法的に外に出れるし、同僚に会えるし、お客さんに会えるし、身体動かせるし、おいしいパンに囲まれれる。他の業種に就いてたら、ホームオフィスか、むしろ2週間まるまる休暇ね、とかなってたかもしれない。
コロナに対する人々の反応は色々だし、ぎょっとするようなこともあるけど、「営業しててくれてありがとね〜」って感謝してくれたり、「みんな元気?」とか「気を付けてね!」とか健康を気遣ってくれたり、「パン、3個買ってもいい?」と他の人のことを気遣ってくれたりするお客さんもいっぱいいて、パン屋って幸せな仕事だな、って思う。
それにしてもやっぱり友達と会いたいし、カフェに行きたいし、ショッピングしたりもしたいー!あと1週間で治まればいいけど、どうなんでしょう。引き続き、様子見です。