パン屋で働き始めて1ヶ月。今日はパン屋での仕事についてを少し。まずは1日の流れを。
一日の流れ(午前シフト編)
07:15 出勤
- ロッカールームで着替えなど
07:30 勤務開始
- 見本用カウンターにパンを並べる
- ラックのパンをきれいに整頓する
- 紙袋を準備する
- ゴミ袋を準備する
- コーヒーマシンを準備する
- レジを準備する
08:00 開店
- 扉を解錠する
- お客さんが来たら対応する(パンを紹介する/質問に答える/オススメする/販売する)
12:30 午後シフトの同僚が勤務開始
13:00 勤務終了
わたしは朝型なので午前シフトが好き。お店を開ける準備をしてくのが好き。朝一でパンを買いに来てくれる人は朝ごはんにこれ食べるのかなぁと想像したり。土曜日の朝は息付く間もないくらい絶えず人が来て忙しかったりするけど、平日は割とまったり。
一日の流れ(午後シフト編)
12:15 出勤
- ロッカールームで着替えなど
12:30 勤務開始
- お客さんが来たら対応する(パンを紹介する/質問に答える/オススメする/販売する)
18:00 閉店
- 見本用カウンターのパンを片付ける
- ラックを綺麗に掃除する
- 紙袋を補充する
- ゴミ袋を入れ替える
- コーヒーマシンを掃除する
- レジを締める
- 掃除機で床を掃除する
19:00 退勤
夕方あたりから学生のお客さんが増え始めたり、仕事帰りに夕飯のパンや翌朝のパンを買う家族連れが多くなってくる。18時の閉店後は、片付けと翌日の準備を。
整理整頓好きが役に立ってる
わたしは整理整頓が好きで、断捨離が好きなのですが、パン屋の仕事にこれが活きてる。主にはそこかしこに飛び散ってく小麦の掃除と、パンを見栄えよく並べること、道具の補充。
小麦の掃除
掃除は最大の仕事で、うちは販売カウンターのすぐ後ろでパンをこねたり、オーブンで焼いたりしているので、あちこちに、すぐに小麦が溜まっていく。お客さんから見える床、カウンターの上はもちろん、カウンター裏(レジ部分、紙袋の棚、ミニ冷蔵庫とか販売員が使うやつ)とかにもどんどんどんどん。これを暇さえできれば掃いてく。余裕があればケルヒャーの掃除機で吸う。でも掃除したそばから溜まってくので無限ループ。でも綺麗になってくの見るの楽しい。
ちなみに小麦はエプロンにも、服にも、髪にも顔にも付いてく。作業するのが目の高さくらいのラック段くらいならいいけど、高めの段にパンを積んだり降ろしたりすると、パンの表面の小麦とか、ラックに溜まってく小麦が舞い散ってゴホゴホする。シャツもエプロンもあっというまに汚れてく。帰宅したら手洗いで洗濯するのだが、水が茶色から透明になってく過程を見るのも楽しい。
パンを見栄え良く並べる
パンはパンを作る人たちがオーブンからラックに出してくれる。焼けたらオーブンからすぐに出していかないと余熱でどんどん焦げてくので、早くラックに並べるのが大事。パンは熱くて素手では触れないので、木製のボートのオールみたいなやつで移してくけど、長い枝の先っちょにパンが3個載るくらいの板しか付いてないし、そこに1kgのパンが3個載ったらバランスとるのが微妙に難しい。※下記はピザ用だけど、ほぼこれと同じ
思ったようにパンがラックに載らないときがあるので、それをわたしが向きを直したり、詰めてったりして修正。素早さを重視してオーブンからラックにとにかく載せてくと、載せやすい下の段に積まれてく。でも床に近い下の段のパンは埃が付きやすいし、上の段の方がお客さんからよく見えるので、パンが冷めたら下から上に移してったり、綺麗に並べ直していく。あとはお客さんが買ってくれるとラックからパンが減ってくので、その穴を埋めるのに整頓し直したり、見栄えがいいパンを手前に並べたり、などなど。パンが綺麗に並んでると楽しい。
道具の補充
必要なものがない、なんてことがないように、カプチーノを作るミルクを買いにスーパーに行ったり、地下の倉庫から紙袋とかレシートのロールを取ってきたり、パン切りナイフを洗ったり、あとは「このパンがあと10個で売れ切れる!」とパン焼く人に伝えたり、「もう1ユーロ硬貨がない!」とボスに伝えたり。
自分が好きなことが役に立つのは嬉しいことです。が、以下、予想外だったことも。
生傷が絶えない
手の平も甲も細かい傷が付いてきます。紙袋やレシートで切るのはもちろん、パンそのもので。大きくてがっしりしているドイツパンを、左手でがっしり掴むとそれだけで。さらに切るときに完全に固定されなくて微妙に動いてしまうので、傷が広がったり、深くなったりする。日本では想像しにくいけど、ドイツパンの表面はクリスピーで、手が切れるくらいだから食べるのも注意しないと口の中が切れる。で、そんながっしりしたパンを切るナイフは当然ながら非常に鋭利で、少しでもかすめると結構深く・・・。
あとは、焼きたてのパンを整頓していると火傷まではいかないものの「あ・・・・ちちちちちいちちちちちちい」となります。最近は夏の天気になってきて暑いのに、カウンター裏にダイレクトにあるオーブンで結構な暑さに。体力が必要な仕事ですね。
お金との付き合い
会計はシステムが勝手に計算してくれるけど、会計後に「現金ないからやっぱそのパンなしで」とか「あ、30セントあったわ」とか「やっぱりそのパンやめてこれ」とか、「やっぱりこれも」とか、おつり出してるときに「土曜日は何時から?」とか「これ材料は何?」とか聞かれるとパニック。飛ぶ。
頭が働いてないと、80セントのおつりを50-20-10で渡せばいいのになぜか50-10-10-10で渡しちゃったりとか、1.80の会計で2ユーロをもらって、本当に20セントのおつりで合ってるのかしばらく迷ってしまったり。
そもそも、1ユーロと2ユーロをよく見間違えるし、20セントと10セントもよく見間違える。そしてユーロじゃなくて謎の硬貨を渡してくる人(気付いてか、気付いてないか)もいるし、注意しないと大変です。
はい。それから:
上司とわたし
上司かつパン職人かつオーナーの Julius は、一言でいうと「いい奴」!!ふとしたときに「パン綺麗に並べてるね。いいね。」とか褒めてくれたり、仕事終わりには「今日もありがとう。明日もよろしく頼むな。」としっかり握手してくれたり、「生傷が絶えないよー」と言ったら、「小麦というのは水分を吸収するだろう?小麦が手についてると、水分が奪われてくんだ。重要なのは就寝前に油分の多いハンドクリームを塗ること。そのあと手を洗ったりはしないこと。また、同じハンドクリームを使うと手が慣れてしまうから、数種類を使うこと。」と説明してくれたり、何か少しでも困ったこと(どうしてもパンをスライスして欲しいお客さんとか)があると「どうした。任せろ。」と助けてくれたり。彼は、これまで彼のような上司や同僚に恵まれてきたのか、それとも劣悪な上司や同僚に囲まれて反面教師にしてきたのか、それとも彼はもうずっとこんないい奴なのか、とかたまに考えてしまうくらいいい奴。いい上司。そしていいパン職人。もちろんわたしの同僚もみんないい人で、ここで働ける機会にドキドキして、彼らとお客さんに少しでも貢献できれば、と励む日々です。