みずがめ記

既婚だけど単身でドイツにワーホリに来て、就労ビザで延長滞在。帰国してもドイツが好き。

保険証なしで病院に行ったら

ワーホリを始めた当時は、ワーホリ用の保険に入っていた。Care Conceptというやつで、これで歯医者に行ったりしていた。

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で、パン屋で働き始めてからはCareConceptを辞めて、AOKという保険会社に守られるようになった。

www.aok.de

AOKに加入してからは病院に行く機会がなかった。なので先日、病院に行くまで気付かなかった。自分が保険証を持っていないことを。

コトの発端

手首が痛いな、と思ったけど放置していた。「明日には治るかな」とか思って平日を過ごし、「週末には治るかな」と思って週末を過ごし、「治らないな」と思って週明けに上司に言ってみた:「先週から手首が痛いんだよね」。

「先週から?先週から痛みがあったということか?」「うん」「それ、先週言えよ」。

ですよねぇ

と思いつつも、その日は何度も「手首どうだ」「痛いか」と聞かれた。そんなすぐさま治るもんじゃないけど気にしてくれてるのがわかって申し訳なかった。「痛くてもう無理だったら言え。いいか?」と言ってくれた。それから「タイマッサージがいいらしいぞ」という、それは多分違うやつ・・・と思う情報もくれた。

症状をネットで調べて、腱鞘炎とかドゲルバン病とかバネ指とか、安静が一番という情報とか、激痛注射とか、色々見当を付けた。とりあえず自分でキネシオテープを買って、巻き方を調べて巻いてみた。

ドイツのキネシオテープはなぜかビビッドな色しかなくて、かっこいいけどパン屋で働くには無駄に目立つやつになってしまった。

www.rossmann.de

巻いたら結構良くなった。良くなったけど、やっぱり痛かった。

整形外科に行くことにした

病院に行っても「腱鞘炎ですね」「はい」というやりとりが交わされるだけだろうと思っていたけど、これは長引きそうだな、というのと、病院行った方が上司が安心するかな、というので整形外科に行くことにした。

早速予約

Googleマップで検索して、星4つ以上のレーティングでフィルタを掛けて探してみた。よさげなところは「私保険でないと診察していません」と言われたり、「1ヶ月半後まで予約は埋まっています」と言われたり、もう次でダメだったら「探してもダメだった」って言おう、というシナリオを頭に浮かべて、自宅近くのクリニックに朝イチで電話してみた。

「2週間前から手首に痛みがあって、今日予約できますか?」

「当院に来られたことはありますか?」

「いえ、初めてです。」

「今日のどの時間帯をご希望ですか?」

「何時でもいいです。」

「当院まで何分で来れますか?」

「15分くらいです」

「では、今すぐ来てください」

とのことで、着替えて出発。このときは予約取れたハッピーでいっぱいだった。15分ほどでクリニックに到着。

保険証がない

受付で、「先ほど電話した者です」と名乗った。「では保険証を」と言われて、ハッとした。「持ってないです」というと、その場の全体の空気が凍りついた。

「お持ちでないと診察できません。当院は初めてなんですよね。持ち合わせてなければ、保険会社に電話して証明書をFAXで送っていただければと思います」と丁寧に対応してくれた。

保険証・・・保険証・・・保険証・・・

「ちょっと上司に連絡してみます」と行って受付を離れた。

保険証を持ってない、というのは日本で考えても「は?」という事案だと思う。「持ってないです」って言われたら、診察できません、というのは普通だと思う。全額負担して、後日返金とか。

上司に連絡

すぐに上司に電話。「今、病院にいるんだけど、保険証が必要なの。でも持ってないの。」と伝えた。そんなこと言われても・・・と思っただろうに、上司は保険会社に電話してくれた。そしてすぐに証明書をメールで送ってくれた。

証明書を見せて対応

「証明書ありました〜」と再び受付に行き、メールに添付されたファイルをスマホで見せる。「これで大丈夫ですか?」と聞くと、にっこり笑って「大丈夫ですよ」と言ってくれた。

初来院のときに書くアンケートみたいなのを書いていたら、手続きしているであろうお姉さんが顔を曇らせた。「これ、日付が半年前ですね・・・古すぎるのでこれでは証明になりません」。確かに日本でも月初の診察は毎回保険証見せますもんね・・・

再び上司に連絡

「古いからダメだって」と電話すると「ちょっとその受付の人と電話させて」と言われたのでスマホをお姉さんに渡す。ちょっと「はぁ」って顔でお姉さんはスマホを受け取ってくれた。

それから「保険会社に電話して、現在加入してることがわかる日付で再送してもらってください」と言われた。なので、AOKに電話してみた。

AOKに連絡

AOKに電話して、自分が今病院にいること、保険証がないこと、その代わり証明書が必要なので送ってほしいことを伝えた。

証明書を発行するために氏名と誕生日と住所を伝えた。

わたしの発音が悪いのか、電話先の女性は氏名も誕生日も住所も聞き取るのにイライラしているようだった。「え?何?」「どこからどこまでが姓?」「え?何日?で、何月?」などなど。

そして最後に「あなたの情報は登録されてないわ。見つかりません。何もできません。」とサクっと言われた。

1回、引っ越したことがあるので、住所が更新されてないのかな?と思って「住所が・・・」と言いかけたら「住所も全部入れたわ。でもないもんはないのよ。登録してないんじゃない?何もできないわ。」と興奮気味に言われた。

「・・・」としか思えず、ありがとうございました、と言って電話を切った。

再び再び上司に連絡

ポカーン、としながら、涙が出そうになりながら、カラカラな声で上司に電話した。

「今ね、AOKに電話したんだけど、わたしの情報がないって言うの・・・」

「俺もさっき電話したけど、お前の情報はあったし、30秒で証明書送ってくれたぞ。まぁいい。俺がもっかい電話してやるから待ってろ。それより調子はどうだ?」

「最悪・・・」

「マジか。手首もう動かせないか?」

「いや、手首は大丈夫。心が折れた・・・」

「あぁ、そういうことか。大丈夫だ。俺がなんとかしてやる。」

「すみません、よろしくです・・・」

といって上司からの連絡を待った。

それからすぐ、「AOKが病院にFAX送ってくれると。30分経っても届かなかったらまた連絡してこい」とメッセージをくれた。

受付のお姉さんに、「AOKがFAXをしてくれるそうです」と伝えた。

それから10分経っても何も起こらず、「あと5分しても届かなかったら、残念だけど別の日にまた来てもらうしかないわ」と言われた。それから「あとね、保険証持ってないのって大変よ。事故とかに遭ったらどうするの?」とやさしく諭された。「はい」とだけ答えた。

再び再び再び上司に連絡

そして5分待っても何も起こらなかったので、上司に連絡した。上司は再びAOKに連絡してくれたのか、1分後くらいにまたメールで証明書を送ってくれた。発効日はその日の日付になっていた。

証明書を見せて対応

「今日の日付での証明書です」と言ってスマホを見せた。「じゃあ、このアドレスにメールで転送してくれる?」といってアドレスのメモを渡された。転送した。

「じゃあ、やっと診察できるわね!これに記入してあそこで待っててね」と言われてアンケートの続きを渡された。迷惑掛けてごめんなさい、と、やさしくしてくれてありがとう、と、感動した。

やっと診察

すぐ診察室に案内された。この時点で、病院に来てから1時間が経過。天気は大嵐。窓に激しく打ち付ける雨を見ながら、先生が来るのをボーッと待っていた。

先生は20分くらいしてから部屋に入ってきた。

「どうしましたか?」というお決まりの質問に「2週間前から手首が痛くて・・・」と回答して、どうしたら痛むのかとか、原因は何だと思うかとかを質問されて答えてった。

で、「腱鞘炎ですね」と言われて、(知ってます)と心の中で答えた。「身長と体重は?」と聞かれて答えた。薬の量を決めるらしい。日本にはない質問だから新鮮。確かに人それぞれ身長も体重も体格も違うから、薬の量は一辺倒じゃないよね。

で、何やら紙を渡された。「痛み止めの薬を出しますので、夕食後に服用してください。それからグローブも出します」と。処方箋なんですね。

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ということで診察は5分で終了。受付に戻って、渡された処方箋を見せる。「グローブはここで受け取ってください」と、お店の場所を説明された。「保険証は10日以内に持ってきてくださいね」とも言われた。にっこり送り出してくれて、本当に感謝感謝・・・

処方物を回収

処方箋を持って、説明されたお店へ。スポーツジムみたいな店だった。リハビリ施設も併設されている、整形グッズのお店だった。「はい、君どした〜」とチャラいノリでお兄さんに話しかけられた。「これを」と処方箋を2枚渡したら、「こっちは薬局行ってね」と1枚返された。痛み止めの薬はここじゃないのか。

「手首のサイズ測るよ〜」と、メジャーを巻かれた。「このサイズ・・・ないね!届いたら連絡するね!電話番号は?」と聞かれたので伝えた。ということで手ぶらで去る。

次は薬局へ。「これを」と処方箋を渡したら「今、切らしてますね。午後に来てください」と言われて、こちらも手ぶらで帰宅。

午後に再び訪れ、無事に回収できました。処方されたのは、Diclo 50というやつ。20粒入って、€5でした。

www.shop-apotheke.com

薬が効いた

お医者さんには「夕食後に」って言われたけど、説明書には「食前2時間前に」って書いてある・・・が、お医者さんを信じて夕食後に飲みました。

いつも朝が一番痛くて、翌朝もやっぱり痛みが。効かんなぁ、と思いつつ出勤。「昨日はありがとう」と上司にお礼して、いつも通りに勤務開始。すると気付いた。痛みがない。先週あった痛みがない。ここで痛む、っていうときにあった痛みがない。痛みがないってすごい。痛みがない。ドイツの薬すごい・・・

でもこの日は上司も同僚も気にしてくれて、わたしの代わりにパンを切ってくれたり、重いものを持ってくれたり、手首を使わないように気にしてくれた。ありがたい。。。

保険証のこと

AOKに加入したのは5月なのに、それから9ヶ月経った今も保険証が届いてないのはなぜか。上司が連絡したところによると、写真を送ってなかったかららしい。それにしてもその連絡もくれないのか・・・と思いつつ、「保険証ないんですけど」って言わなかったわたしが甘かった。なんか、なくてもなんとかなるのかなって思ってた。

ということで、早速写真を送付。メールに添付して送ったら「これで大丈夫です。2週間ほどで発行できる予定です」とAOKから連絡がきた。2週間!?!?病院のお姉さんには10日以内と言われたのだが・・・仕方ないので、AOKからのそのメールを病院に転送。2週間ほど掛かるそうですみません・・・と伝えた。

 

ということで、ひととおりでした。

グローブはまだ連絡来ないし、保険証も届くまでまだ掛かるし、届いたら病院に持ってかなきゃいけないけど、快方に向かってる気がします。

保険証、大事。ひとつまた経験できました。